最強の営業マンは何を売る?売上を売る営業マン

2020.11.30

よく営業に関して以下の様な話を耳にする。

1、出来る営業マンはどんな商品でも売ることができる。
2、営業マンは商品を売るのではなく自分を売るのだ。

要するに、目に見える商品だけを売っても買ってもらえないので目に見えない物
つまり、自分を信用してもらうという事ができる人はどんな商品でも売れるという事が言いたいのだろう。

まぁ概ねあっていると思う。

そんな中で、売上を販売する営業マンについての話をしようと思う。

私が以前にいた弱小iPhoneケースメーカーでの話。

iPhoneケースとはその売上の大半は家電量販で取引されており、さらに10月〜12月の売上が大半だ。
それはiPhoneの新製品が毎年秋に発売されるので、そのタイミングでみな新しいiPhoneケースを購入する。

従って、iPhoneケースの売上を上げるには当たり前だが、この10月〜12月の間に商品がないと売れない。
もっと言うと、iPhone発売日には店頭に並んでいないと家電量販店は中々取り扱ってくれない。
また、多くのiPhoneケースが並ぶ中で目立たないといけない為に、シリーズ展開をする事により
棚の面積を多く取り、お客さんの目を引いた上でうちのブランドの中から選んでももらう状態を作らないと行けない。

そんな中、我々が取り扱っていたiPhoneは

①毎年、年明けに発売する
②品揃えは、ほぼ1型番だけ

このセオリーと全く真逆の状況下で売らないといけないのだ。
※もちろん、これには訳があった。定石通りの売り方は各社みんなやってる事なので資本力勝負になりやすく
弱小メーカーはハナから戦えないので販売時期が遅れても良いから凄くこだわった商品を作らなければ戦えないと言う作戦なのであるが・・・

最前線で戦う営業マンは、商談の際に至極ごもっともな買えない理由を言われる。

そして、真面目な私の部下の人たちはウチの会社をもっと良くしようと売れない理由を教えてくれる。

しかし、私からは以前にも話したように

『売れる物だけを売る営業マンは、一体なんの価値があるんですかね?学生時代なら使いっ走りと同じですよ。営業マンってもっと凄い仕事だと思うんです』

などと言われて完全に板挟み状態。

本当に私の部下だった人たちは良く付いてきてくれたものだ。笑

とは言え、ただ上から厳しい言葉ばかりを言っても売上が上がる訳ではないので、全ての商談に同席させてもらったり
少ない売上の中でも買ってくれている会社はどういった会社なのか?など分析をしているうちにある事に気が付いた。

家電量販店では絶対に売れないと。笑

この事実を受け入れた瞬間にある世界が見えてきた。

それは、街の雑貨屋さんやアパレルのセレクトショップという市場である。

基本的に新たなiPhoneを買ったらまず家電量販店やネットで保護する為のケースを購入するが
3〜6ヶ月経つと同じケースに飽きてくる人が存在し、人と違う商品を求めるファッション的にiPhoneケースを活用する人がいる事に気が付いた。

従って、上記の雑貨屋さんやセレクトショップではケースの売れる時期が半年〜1年ほど遅れる事が分かった。
つまり、うちの一般的には喜ばれない商品を喜んでくれる人を見つける事に成功したのだ。

さらに、ただ売れていないだけのiPhoneケースを逆に、家電量販店で販売していない簡単には買えない商品ですよ。
という言い方をしたら、逆に付加価値が付いた。笑

このおかげで新たな口座が開けるようになったのだ。

しかし、当時は雑貨屋さんもセレクトショップも元々iPhoneケースを買う所ではなかったので
お客さんも心の準備ができていないので中々売上が上がらない・・・

そこで私の部下には、新規営業を禁止した。(約1.5年間続いた)
そして、それでも売上を上げるようにお願いした。

つまり、既存の卸先の売上を上げるサポートだけに専念してもらったのだ。

そして、売上アップのPDCAに積極的に付き合ってくれるお店を見定めて毎週のように通ってもらった。

お店のどこにiPhoneケース売場を作れば良いのか?
どれくらいの規模で展開すれば良いのか?
様々なことを複数の会社さんと同時に実験をし続けた。

すると以下のことが分かってきた。

①新たにiPhoneケースの品揃えをすると初めの6ヶ月は売れないが1年後には1つのカテゴリーとして十分な売上をたてることができる。
②入口の目の前にiPhoneケースを陳列すると月に0.8回転するのに対して壁際に陳列すると3.2回転と4倍売れることが分かった。
 →iPhoneケースは握り心地などを確認したいのでサンプルが展示されていることが多いが人目のつく入口付近ではじっくり商品を試せない。
  逆に、お店の端や少し人目のつかない場所にサンプル付きで商品を置いて上げるとじっくり選べるので売上が上がることが多かった。
 →ただ、①に書いたように新たにiPhoneケースを取り扱ったお店では既存のお客さんがそこにiPhoneケースが販売してることに気づいてくれないので初めの半年はなるべく目立つ所に展示してもらい、そこから徐々に奥まった所に棚を移動してもらうようにした方が早く売上が上がることが分かった。 
③1型番4色展開の時の1番売れるカラーより、8色展開の時の1番売れるカラーは3倍の売れ個数になる。
 →8色展開することにより、まずはうちのブランドに気づいてもらいその中でどのカラーを選んでもらうか?ということが大切なのだが
  実際の数字これほどまでに違いが出た。
④サンプルがあると無いでは、約3倍売れ個数が変わる。

普通、バイヤーさんとは仕入れ予算や在庫の回転率や消化率などの指標で会社から評価されるので自分の評価を最大限上げる為には
既存の取引先で1番仕入れ額の多い企業の今後の仕入れをどうすれば1番適正か考える。

つまり、我々のような弱小メーカーはアイテム数の時点で取引額が小さく見向きもされない。

そこで我々は、坪効率ならぬ、1フェイス(1つの商品の面積)効率の最大化を推奨した。

実店舗の小売店は売場面積が限られているので、その中で売上をあげようと思うと、少しでも小さくて高単価の物を売るか?回転数を上げるしか?
大きくこの2つになる。

従って優秀なバイヤーさんはみな、坪効率と言うものを考えるのだが、1フェイスの効率までは見切れていない。
しかし、1フェイスの集合体が坪効率に繋がるのでここを見なくてどうやって坪効率上げるんですか?という謳い文句で強引にそちらに目を向けてもらう事にした。

もちろん、ほとんど普通のバイヤーさんは話を聞いてくれないが中には変態的に興味を持ってくれるバイヤーさんがいるのでその企業と事例作りをすることにした。

ただし、全ての卸先とPDCAを回すことはできないのと、多くの企業とPDCAを回すと全体的にゆっくりになるので、1人の営業マンに対して、担当の卸先のPDCAを回す企業分けとして、Sランク、Aランク、Bランクとランク分けしてもらった。

Sランク(1社)=可能な限り毎週訪問してでもPDCAを回す(1社の中でもキーとなる店舗を1店舗バイヤーさんと決める)
Aランク(10社)=月に1回訪問だが、Sランクの事例を具体的に説明して実践してもらう。
Bランク(30社程度)=3ヶ月に1回訪問、Sで出来た事例をAランクで再現性を確認して、それを簡単な資料にまとめ、メールと電話で伝える

※基本的に発注などはBtoB専用のクローズドの通販サイトを利用してもらったらので営業マンがそんなに関わらなくても通常営業はできるオペレーションなので、あくまで営業マンが卸先と関わるのは日々の注文を取る為ではなく、売上を上げる相談をする為だけに絞られる。

上記の様な取り組みを行っていると何が起こるかというと・・・

私の部下が・・・
雑貨屋さんとして私が知る限り日本で1番坪効率の良いお店のバイヤーさんから次のスマホケース全体のMDの相談を受けるようになる。
iPhoneケースしか販売していない1メーカーに全てのスマホケースのMDの相談をするのだ。
もちろん、その担当営業マンは、そのお店の売上最大化できることを最優先に考えて提案するのだが・・・

この関係性で、うちの商品を取り扱わないという事はあり得ない。

この状態が、題名の通り、『売上を売る営業マン』だと私は思う。

後日談だが・・・この担当営業マンは、この状態になって初めて私の言っている『売上を売ってこい』という言葉の意味が分かりました。と話してくれた。(逆によく意味も分からずに1.5年も実践してくれたものだ。感謝しかない)

この売上を販売できるようになると・・・
1万円札を7,000円で販売する様な物なので売れない訳がない。

買った瞬間得するのだから。

ただ、もちろん人間なので予想が外れる時もある。
その一時的に損をさせてしまった際に、挽回する為に、どの様な動きを取るかを1番見られている。
そして、その動きを信用してもらえると、もう一度チャンスをもらえる。
このチャンスをもらえているうちに再度儲けさせることができれば・・・

本当の意味で永続的に売上を上げ続けられる。

この状態になると、前回話したサンタクロース営業の様な状態が・・・
偶然の条件が揃ったから実現するのではなく誘発的に再現性を持たせられるようになる。

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