放浪記16カ国目の国は・・・・一人当たりGDP世界1位の国ルクセンブルク。
【2018年 一人当たり名目GDP】
1位ルクセンブルク=114,234US$
26位日本=39,306US$
GDP=国内総生産=一定期間内に国内で生み出された付加価値(粗利額)の合計。
国民1人あたりの豊かさを測る国際基準として50年以上前から使われている指標だ。
つまり、1人あたりで見ると日本より約3倍も豊かな国という事だ。
凄い期待を胸に、高まる鼓動を無理やり押さえ込み!
日本より3倍豊かな国にいきなり馴染んでるオーラをだせるように冷静を装いながら
ルクセンブルクの首都ルクセンブルク市の駅を降りた。
※3倍の豊かさを表現するのは正直相当苦労した。
すると私の脳裏には、突如として違和感が満ち溢れて来た。
「??????????」
「豊かとは何か?」
突如自分の目の前に広がった哲学的な問い。
その瞬間に、なぜその問いが脳裏にいきなり浮かんで来たのかの整理もできていない。
とりあえず物価を見る為に近くのスーパーに行って見る。
その時にやっと、駅の改札を出てからずっと感じていた私の違和感の正体がやっと明確に理解できた。
1人あたりGDP世界1位の国の首都が「普通の田舎街」と言う点だ。
そして、1人あたりGDPと言う指標に対する不信感が生まれた。
なぜ、この様な感覚の誤差が生まれたのか?
理由は明確だった。
元々GDPと言う指標が生まれた時代は、物をどれだけ生産するかと言う物質的な付加価値の産み方しか存在しなかった時代。
しかし、近年はGAFAに代表される様にGoogleやAmazonなどIT企業はソフト面にて付加価値を生み出している。
実際、ルクセンブルクが1人あたりGDPが1位の理由も海外の法人税を安くする事により、世界的なグローバル企業の本社の誘致に成功したからであった。
ルクセンブルク自体、人口60万人と言う小さな国(滋賀県の人口とほぼ一緒)
そんな小さな国に世界的大企業群の莫大なGDPが数字上のっかればそれは1人あたりGDPは大きくなる。
まぁ、元々手に入らなかった税金なので税率を低くしてでも他の国からかすめ取ろうとする考えは分からなくも無いが、税率が低い為、国自体も裕福な訳でもなく国内に回すほどではなく。従って私の感じた違和感が生じたようだ。
※まぁ、私は3倍豊かな国と言う時点で心のどこかで車が空でも飛んでいるくらいの期待をしていたのも私が落胆した理由の1つではあるが・・・。笑
ここでも、私の期待は大きく裏切られる事になる。
今回の旅は、産業革命が早く起きた順に国を巡り、次に一人当たりGDPの高い国順に国を回る事により経済発展のステップや法則を手に入れるのも1つの目的にしていた・・・
しかし、ルクセンブルク自体は特に経済発展している訳では無かったのである。
そこで今回も仕方なく、結局ただの観光に直ぐに切り替えた。笑
するととても面白い観光地を見つけたのだ。
その名を「ボック要塞」と言う観光スポットなのだが・・・
実はルクセンブルクは旧市街と新市街の2つの街から作られているのだが、街全体が要塞なのだ。
旧市街=砦の中側
新市街=砦の外側
そして、ルクセンブルクの歴史を紐解いていくと・・・なぜ早くから海外企業の誘致をしたのか?
と言う問いも自ずと解けた。
ルクセンブルクとは、国の位置的にフランスと神聖ローマ帝国(ドイツやオーストリアの前身の国)に挟まれ、両国のネーデルランド(オランダ)周辺の土地を巡った争いに常に巻き込まれてきた。
※時代ごとにフランスなどの国名は変化してる。
小さな国が大国に挟まれた中で自国を守る為に、常にどこかの大国の庇護の元、その国の前線基地として戦争をするために国自体を要塞と化していったのである。
この歴史が1,000年以上続いていたのだ。
ここで私はとても重大な事に気が付いた。
人類の集合体としての単位が国から変わってきていると言う事だ。
【人類の集合体としての単位の変化】
①古代〜中世ヨーロッパ
キリスト教の中に各国が存在していた。
②現代
資本主義の中に各企業が存在している。
つまり、企業の規模や力が国と同列かそれ以上になって来ていると言う事である。
昔から独立し、社長になると「一国一城の主人」などと言われていたがそれが比喩ではなくなって来ているのだ。
実際に、ルクセンブルクの人口は約60万人とお伝えしたが、Amazonの従業員は世界で約60万人と言われている。
ウォルマートに関しては230万人(おそらくパートアルバイトを含むが)
この人口は世界でも約130番目の人口であり、国としても中堅である。
中世ヨーロッパの時代は大国の庇護を受けていたルクセンブルクだが、おそらくこの変化を敏感に感じ取り、庇護の対象を国から企業に変えたのであろうか?
上記の様な事を考えていると、国レベルの規模の企業を作るとはどの様な事なのか非常に興味が湧いて来た。
そして、社員&その家族10万人を抱えるには必要な売上などを以下に記載してみたいと思う。
【10万人を養う為に必要な給料】
10万人÷2.47人(平均世帯人数)×545万円(平均世帯年収)=2,200億円
【10万人の街を維持する為に必要な費用】
まず、10万人という人口のイメージがしやすい様に日本国内の10万人都市を調べた。
今ちょうど10万人に近い市区町村はふるさと納税で注目を集めている大阪府の泉佐野市の100,478人だった。
そして、泉佐野市の平成31年度予算は865 億9,075 万円
(中身まで詳しく見ていないので必要ないのもあるかも知れないが・・・)
つまり、人件費に2,200億円払った上で営業利益900億円出さなければならない。
【業態別 必要売上】
製造業&飲食店など=約10,333億円(業界平均の人件費比率30%計算)
卸業=約31,000億円(業界平均の人件費比率10%計算)
小売業=約20,666億円(業界平均の人件費比率15%計算)
マッサージなどのサービス業=約6,200億円(業界平均の人件費比率50%計算)
※上記はあくまで目安である。厳密にはそれぞれのビジネスモデルによってはもう少し、少ない売上高でも達成する事は可能だろう。
何が言いたいか?
今の時代にでも上記の売上を作れば・・・国の様な物を起こす事は可能だと言う事自体に非常にロマンを感じた。
ここから完全に空想の話なので完全に無視して頂きたいが・・・
以下の条件化ならいくらの売上で良いのだろうか?
1、営業利益は0円で良い。
2、会社で生産した物は基本的にはまず社員へ販売する。
→会社としての事業は衣食住の提供。
→自給自足に近い
3、余剰の生産物だけ、社外への販売を行う。
上記の設定であれば、全て社員に原価で販売するのであれば社員の平均世帯年収も545万円もいらない。
1世帯あたり製造直販を行うので粗利率80%計算すれば545万円も5分の1の109万円で良い。
上記の計算であれば、売上は441億円あれば10万人の生活は可能となる。
さらに、10万人都市に必要な年間予算900億円を捻出する為に余剰の穀物などを販売するとして・・・
結論として:約2,000億円の売上があれば10万人の国みたいな企業が作れるのか?