私の支援先に社員10人程度だが、何回かTVや新聞に『働き易い会社』や『女性に優しい会社』などと取材される会社がある。
正社員は主婦の方が多いので、何か急な用事が発生したらいつ家に帰っても良かったり、子連れ出勤をしても良かったり、
そう言った所がクローズアップされている会社だ。
しかし、これらはこの会社の凄さの末端の事象に過ぎない。
この会社の1番凄い所は、社員1人1人が主役になれる所だ。
ここの会社の社長の口癖は
「私は、無知無能なので助けて下さい!!」
「私は、運だけしかないので!!」
といつも社員や社外の人に言っている。
恐らく、これは口先だけのパフォーマンスとしてではなく心から出ている言葉だろう。
それが社員さんや私にも十分伝わっているからこそ
この会社における自身の重要感を満たされるからこそ
『この人の為に頑張ってあげよう』
「私がやらなきゃな』
と言う感情が自然と生まれてくる。
あえて、語弊を恐れず言うと
ほとんどの会社の社長とは、自分より総合的に見て劣る人を使いこなす。
だから、社長のレベルが上がれば上がるだけ、雇える人のレベルが上がってくる。
雇われている社員も、社長より自分の方がレベルが上だなと感じると
他の会社に転職するか独立してしまう。
だから社長は、社員の前では虚勢を張り続けなければならない。
舐められては会社が成り立たないのだ。
誰も未来のことなど分からない。
しかし、不安がっていては社員も不安になり違う会社に行ってしまうので
たとえ、社長自身も不安を感じていても先頭を走り続けなければならない。
これが普通の会社の社長と社員の関係だ。
これは言い換えれば
その組織は、社長のレベルが天井となりそこまでしか成長できないとも言える。
しかし、本日話している会社の社長は『自分は無知無能だから助けてください』と言ってのけている。
この言葉は、相当自分自身に自信がないと出てこない言葉だ。
そして、この社長は、実際に様々な分野ごとに自分より優秀な人をモノの見事に使いこなしている。
この瞬間、この会社の成長は青天井だ。
そして、自分より優秀な人がパフォーマンスを最大化できる状態を最優先に考えた結果が『子連れ出勤』などの一部の事象と言う事なのだ。
とここまでは綺麗な話だけをした。
しかし、現実はそんなに甘くない。
社員さんの働きやすさだけ追い求めていれば、企業は成長していくというのは夢物語だ。
この会社も、1日8時間を働いたからこれだけの給料が貰える権利があると考え
自分の時間を切り売りしている人に対しては、上記の様な自由は一切与えない。
そう言った方には、パートタイマーとして働いてもらい。
その時給分のパフォーマンスを成果物として出せていないと感じる人に対しては
働く時間を短くする。
どうやら人は、1日に出せるパフォーマンスの限界が決まっている人が存在する様で
その人が、4時間しか集中して働けないのに8時間働いてもらっても、4時間の時と成果物は変わらない様だ。
従って、こう言った方には一旦4時間働いてもらって、その4時間分の時給以上のパフォーマンスが出せるようになるまでは
出勤も減らしてもらう。
こう言った厳しさを超えた人に対しては、全面的に働きやすさを追求してあげる。
この厳しさがあっての、上記の優しさ。
そして、その優しさがあってこそ、社員1人1人が重要度を感じ。
だから、社員1人1人が全力で働くから、この会社の成長は青天井なのだ。
このブログを読んだ人は、この会社が10人程度の小さな会社だから成り立っているのだろうと思う人も居るだろうが・・・
実際、現在は売上2億円程度の小さな会社かも知れないが・・・
5年後、50億円や100億円になっても全然不思議ではない。
普通、急激に成長すると組織が崩壊して成長が止まってしまうが・・・
この会社はその急成長にも耐えうるだろう。
なぜなら、現在の会社の形も社長がしたくて作った形ではなく
今いる社員が最大限パフォーマンスを出せる形は?と考えて勝手に出来上がった形だからだ。
社長自身にはビジョンはあるが、プロセスには一切んこだわりがない。
従って売上予算などと言うものもない。
最終的にこんな世界にしたいと言うビジョンがあっても
この社長からすると、いつまでに・・・と言う期限すらいらないのだ。
自分のビジョンに一歩ずづでも確実に近づいてさえいれば
その状態で自分が信じた人達が、思いっきり働ければそれで良いのだ。
そこまで自分たちのことを信じてくれる人の為に、人は全力になれる。
社員が本気で全力になれれば、その会社は全力で成長できる。
それが最速だと言うこと。
こう言った事業の進め方は一般的ではない。
だから、面白い!!
この会社が本当にこのやり方で最速で成長できるのかどうか?
アングロサクソン系のいわゆる今風のビジネスの仕方とは全く異なる。
こんな面白い会社をそばで観れる私は幸せものだ。