2014年4月24日
先日、水族館のイルカショーの飼育員さんにヒアリングをさせて頂いた。
その内容は『どうやって、イルカに芸を調教しているのか?』
同じ人間であり、同じ日本語と言う言語を話せる日本人同士ですら人に何かを教えると言う事は至難の技だ!
それを・・・
言語はもちろん!
種族すら異なるイルカに芸を教えるとは、どうやっているのか見当も付かなかった!!
そして、その答えが・・・
『教えると言うか・・・待つだけですよ!ずっと待って、ジャンプした時に餌を上げる!これを続けているとそのうち、ジャンプをすれば餌がもらえる事に気が付くようになるんです。それが出来る様になれば、犬笛を吹くなどのアクションを合わせるとそのうち笛を吹くとジャンプする様になるんです。』
これは、社会で言うと『評価制度』の事を指すだろう!
何をした時に褒められるのか!
ここに、何をしたら罰があるなどは存在しない。
あくまで、何をしたら褒められるかと言う『評価制度』と言う事だ!
想像をふわりと軽く超えてくる答えに、私のテンションは上がりに上がった。
その後も様々な事をお伺いしているうちに調教におけるポイントが分かってきた。
①《覚えやすい技とは・・・飼育員さんと動物との距離が短い技》
②《技を覚えやすい動物とは・・・伝える方法の数が多い動物》
③《技を早く覚えさせるポイントは・・・無駄な事を直ぐに止めさせられるか》
①《覚えやすい技とは・・・飼育員さんと動物との距離が短い技》
イルカで言うと、『鳴き声を上げる』や『手を振る』などは飼育員さんとイルカとの距離が近いので直接触れて教える事が出来るので、約3日程度で覚えてしまうそうだ!
それに比べて、ジャンプは飼育員さんから離れた所にイルカがいるので本当にただ待つだけしか出来ないので少し時間がかかると言う。
②《技を覚えやすい動物とは・・・伝える方法の数が多い動物》
その飼育員さんは、イルカだけでは無くアシカやアザラシにも芸を教えているとの事。
そして、イルカよりアシカの方が様々な芸を教えることが出来るとのこと。
その理由は、イルカが視力や聴力があまり良くない為、『犬笛』と『ジェスチャー』の2種類の方法でしかモノを伝える方法が無いのに比べて・・・
アシカは『犬笛』『声』『ジェスチャー』『飼育員の表情』の4種の伝え方が出来ると言う。さらに厳密に言えば、声のトーンや顔の表情を読み取れるので複数の伝え方が出来ると言う。
実際、野球でも名指導者ほど例え話のレパートリーが多い。
同じ事を言っていても、その人に伝わり易い例え話が存在する。名指導者は、その人に伝わるまで様々な例え話を行う。
それが出来ない指導者、いつも同じ伝え方を繰り返し・・・『こいつは全然分からないんだな~』と言う顔をする。
ちなみに、動物の知能の高さは脳ミソのシワの数に比例すると言われており、地球上で最もシワの多い動物がイルカである。これは人間よりもシワの数が多く・・・つまり、地球上で最も賢い生物はイルカと言っても過言では無い・・・にも関わらず・・・
その賢いイルカより、伝える方法の多いアザラシの方が複雑な芸が出来ると言う事は、頭の賢さより、教える側の意図が伝わる方が成長が早いと言う事を言っているのだ・・・
③《技を早く覚えさせるポイントは・・・無駄な事を直ぐに止めさせられるか》
上記の話の続きになるが、アシカは『表情』や『声のトーン』を識別できるために、大きな声で『駄目っ!!』や怒った表情をするとそれまでしていた事を止めるので正しい芸へ辿り着き易いとの事。
これは、『任せる』と『放置』の違いにもかなり共通する話で、これを聞きながら私は、サブイボが出た・・・
つまり、間違った事をしているのにそのままやらせておいて後から、『違うからやり直して』と言うのはただの『放置』と言う事だ!
真の『任せる』とは、その人の行動を片時も見逃さずに、少しでも間違った方向へ行きそうな時にそのつど止めてあげると言う事。
《動物の飼育から学ぶ人財育成》
①何をすれば褒められるかと言う基準を明確にする。
②その人が評価される事をするまでひたすら待つ。
③成長の速度を上げるには、無駄な事をさせない。
④その無駄な事をさせないために、伝える方法は多い方が良い。
本日伝えたいこと:『自分の行っている事より難易度の高い事からは、学ぶ事が多すぎる』