2013年5月11日
第2章『業績を上げる社員の共通点』
5節:理想の社員とは=自立型社員
【四日市中央工業高校サッカー部の監督の話】
いきなりではあるがここで、2006年のドイツワールドカップの日本代表である坪井選手などを輩出しておりその他にも数多くのプロサッカー選手を輩出している名門、四日市中央工業高校の監督、樋口 士郎さんにヒアリングに行ってきた際のやり取りをご紹介したいと思う。
《教育において大切にしている事を教えて下さい》
育てると言う感覚はありません。その人が育つためのきっかけを与えられるかどうか!
坪井などは、元々B2のトレ選にすらかかっていない選手から3年目にレギュラーになれた選手なのですがワールドカップに出場する選手までに育ってくれた。私は坪井を育てた何て思っていない。彼が自分で育ってくれたと思います。そして、その育つきっかけに我々指導者が少しでも影響を与えられていれば、指導者、冥利に尽きると思います。
《プロになった選手の共通点は何かありますか?》
プロと言うよりも、良い選手の共通点は『自立』していると言う事です!
目標があり、そこまでの課題を自分で見つけ出し、改善の策を打ち出せる選手は勝手に強くなりますからね。
《選手のモチベーションを保つには?》
私はモチベーションとかは考えていないです。
基本理念を常に考え。接しているだけです。
モチベーション=信念に変わった選手は伸びる。信念とは自分は何のためにサッカーをやるのかがわかった選手のことです。信念をもってサッカーに取り組んでいる選手とは自主練を見れば直ぐにわかる。
自主練には、3タイプ存在します。①自分のための自主練②指導者へのアピールの自主練③仲間と楽しく遊んでいるだけの自主練習。この3タイプの自主練のなかで①の自分のための自主練を行っている選手は信念があり自分で考える事が出来るので勝手に育ってくれるし、モチベーションが下がるなどと言う事は無いと思います。一番意味の無い自主練は②の指導者へのアピールですね。これをするぐらいなら③の仲間と楽しく遊んでいる方がよっぽどマシですね。こっちの方が何か身につく可能性がありますからね。
《高校サッカーの監督として一番大切にしている事は何ですか?》
それは四日市工業サッカー部としての基本理念の2つです。詳しい内容はホームページにて確認して頂ければと思いますが簡単説明すると
① ワールドカップで活躍できる選手の輩出
② 良い指導者の輩出です。
この2つを目指す過程で高校サッカーにおいて優勝すれば良い。つまり、高校サッカーにおいて優勝は基本理念に付随しているおまけの様なものです。
だって技術だけだとユースの方が絶対強いに決まっている。だからから準優勝した時のミーティングでも自分たちが上手いと勘違いするなよ!と話したのですよ。あくまで彼らがサッカーを行っているのは目先の勝利のためではなく、後にワールドカップで活躍できる選手になるか良い指導者になるために行っているのでその事をいかに多くの子ども達に分かってもらえると言う点を一番大切にしています。
しかし、ワールドカップで戦える選手は高校サッカーを経験していないと戦えるメンタルが培われない。
《身に着けてほしい習慣》
これは、先ほど話した自立する選手が上手くなると言う話にも繋がりますが、『自分のことは自分でする』と『考える習慣』と『コミュニケーションをとる』この3つですね。
① 『自分のことは自分でする』とは
これは当たり前の事ですが・・・最近はわざわざ、入学時にオリエンテーションにおいて両親をお呼びし、説明しています。例えば、欠席の連絡を親がしてきたり、最近では明日の仕度を親がしてしまう事もあるので、そう言う事は子どもたちに行わせるようにお願いしています。
② 考える習慣とは
(目標までの)自分のポジションを客観的に把握できるか?と言う事です。しかし、これが非常に難しくて、考える事を行っていない選手ももちろん居ますが、勘違いしている選手もいます。我々、指導者はその客観的な視点を気づかせてあげるだけです。
③ コミュニケーションをとるとは
これは子どもにではなくご両親にお願いしたい事なのですが、最近の子どもは喋らない人が多くなってき
ている。それは、ご両親が代わりに喋ってしまうからです。だから成るべくその子の意思をその子の口から発するようにじっと我慢して見守る様にして欲しいです。そうして頂ければ、コミュニケーションの取れる子どもが育つのではないでしょうか?
《よく一般的に技術力ではユースに勝てないがワールドカップ代表として戦える選手は高校サッカーから多く輩出されると言いますがユースと高校サッカーの違いとは何なのでしょうか?》
ユースの選手が、技術力が高いのは元々上手い選手は皆ユースに行ってしまうからだと思います。
そして、高校サッカー出身の選手の方がメンタル面において強いからワールドカップにて通用する選手になるのだと思います。そして、ユースの選手より高校サッカーの選手の方が、メンタル面において強くなり易いのには、高校サッカーの選手の方がユースにいけなかったと言う挫折を味わっている分ハングリーと言う面もありますが、それよりもユースと言う組織自体の構造的問題も存在すると思います。
ユースの監督はJリーガーを引退し、腰掛の監督が多いため1年~2年で代わってしまう事が多いのです。
しかし、我々、指導者は先ほども言いましたが、その選手に『自立するきっかけを与えるため』また『勘違いに気づかせるため』時に選手に対して『お前はやめろ!』と言う時もあります。この『やめろ』と言う時は『選手との勝負の時です!その勝負をするにはそれだけの信頼関係が必要でありそれだけ時間が必要です。ユースの監督の様に1~2年で監督が変わるようでは信頼関係も築けずにその勝負する事ができないのでしょう。従って、怒られずに来た選手はメンタル面においても弱く自立し難いのでそこからの伸びも弱いのではないでしょうか?もちろん、ユースの監督にもすばらしい人も居ますし、素晴らしい選手もいるので全部とは言いませんが確立論からすると多いのではないでしょうか?
このヒアリングを終えて一番感じた事は、体罰はいけないかもしれないが、体罰が出来る関係性が無ければ人が自立するためのヒントを与える事は難しいと感じた。
日本の経営者が無駄に熱くある事を心より望む!
本日伝えたい事『明日は母の日!!』