8月8日
先日半端なく面白い人に出会った。それは、豊岡にて鞄を作っている。由利佳一郎さんと言う株式会社アートフィアーの代表兼デザイナーさんだ。
この方はどうやら凄い人らしい。と言うのも私は良かれ悪しかれ面白そうな人には直ぐに会いに行ってしまうのでそこまで深くその人の事を知らずにアポイントをしてしまう。
この方はスケッチ専用の鞄を作ると言う、非常にニッチな所からデザインとしてスタートをしているのでその起こりから現在に至るまで教えて頂いた。
豊岡は国産鞄の7割を生産している鞄の生産地である。しかし、全てメーカーのOEMを請け負っているので豊岡の鞄工場は名前が世に出る事はあまり無い。
この様なメーカーへの依存体質を脱却するべく由利さんは『アートフィアー』を創られた。
話を聞く限り立上げ数年でトントン拍子に世界3大デザイン賞の一つである。IF規格を日本で5番目に取得!(この賞がやばいほど凄いらしい。鞄では業界初の快挙)その後もイタリアなどヨーロッパでも賞を取りまくりで記者会見を開いたりもするとか。
一通り話を聞いた後に私の驚きまくっている反応を見て。『言っとくけど俺結構、凄い人やねんぞ!業界ではカリスマ的扱いを受けてるんやけど、お前何も知らずに会いにきたやろ!』と普通に怒られた(笑)
非常に癖の強い方で真顔でキレてくる。(ほんまは怒ってないけど始めの3回くらいは分からない)
由利さんはトントン拍子にデザイナーとして駆け上がった風に語られ更にご自身でも『苦労なんて何もしていない』と仰られる。
しかし、恐らく別の人間が由利さんと全く同じ人生を送ったらその感想は全くの逆になっている可能性すらある。
作品を創る苦しみは私には想像がつかないが、少なくても『アートフィアー』立上時に全く小売店への販路が無い中、1年をかけて1社ずつ脚を運んで全国に150店舗開拓している。しかも買取で!どこの馬の骨とも分からない者が売れるかどうか分からない商品を持ってきたと思っている小売店に対して買い取らせると言う事の凄さは十分過ぎるほど理解できる。
由利さんの自慢はこれくらいにして・・・
ここで話は変わるが由利さんは非常に笑いセンスがあり非常に『おもしろい』つまり、頭の回転が非常に速い。ロジカルな方だ。
私は由利さんとお話してこれまでの認識が変わった。デザインと言うセンスが必要なものは持って生まれたものだと思っていた。しかし、どうやら異常な程の論理的な思考の持ち主の事を指すようだ。
デザインは全く新しい物を創るがそれは実は部分・部分で見るとこれまでに自分が見てきたものなどの要素を取り入れているから、自分が経験した事からしか創れないと仰っていた。つまり、①掛け算と②足し算と③引き算なのである。
【余談】由利さんはデザインを行う時は頭が痛くなるまで酔った状態で行うそうだ。この方が一種夢を見ている状態に近いので、潜在記憶と顕在記憶が入り混じり最も多くの記憶を使って創作できるからだと言う。
昔から料理・音楽・絵画など全て女性の方が上手なのに歴史に残るような人物は全て男性と言う点に『やはり、男性が強い社会なのだなぁ』と感じていたがもしかするとそれ以外にもこの論理的思考と言うと所が非常に大きく関わっている気がする。
本日伝えたい事『また一人、ややこしい人を好きになってしまった』